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桜井の駅で一子正行と別れた楠木正成は、死を覚悟して湊川へと赴きます。正成討死の跡を訪うべく、正成を祀る湊川神社に参拝いたしましょう。 |
湊川神社境内案内図 |
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《湊川神社》 神戸市中央区多聞通3-1-1 |
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湊川神社 |
高速神戸駅の東北側出口を上がると、湊川神社前の広場に出ます。神社の表門を入ると正殿まで石畳の参道が延びています。右手には「従是楠公石碑道」の碑が建てられているのですが、弘化3年(1846)に再建されたもののようです。「楠公石碑」というのは、後述しますが徳川光圀が建立した「嗚呼忠臣楠子之墓」の石碑へのみちしるべという意味なのでしょうか。 |
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参道 |
従是楠公石碑道 |
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宝物殿 |
神能殿 |
参道の正面が社殿です。現在の社殿は、戦災によって焼失したものを、昭和27年10月24日に復興新築されたもので、様式は権現造(ごんげんづくり)に似た八棟造り(はちむねづくり)とされ、鉄筋コンクリート造で建てられており、戦後の新しい神社建築様式としての代表的な建物といわれています。 |
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拝殿 |
御朱印 |
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楠木正成戦没地 |
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正成以下その一族等の墓所は境内東南隅に祀られており、国の文化財史蹟に指定されています。 |
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楠木正成墓碑 |
水戸光圀公銅像 |
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「嗚呼忠臣楠子之墓」の碑 |
御朱印 |
正成の墓地は、東屋風建物の中に石で作った亀があり、亀の上に 徳川光圀の建てた「嗚呼忠臣楠子之墓」の石碑が乗っています。 |
碑文拓本 |
大抵、公の兵を用ふる、強弱の勢ひを幾先に審(つまび)らかにし、成敗の機を呼吸に決す。人を知りて善く任じ、士を體して誠を推(お)す。是を以て、謀(はかりごと)中(あた)らざるなくして、戰(たたかひ)克(か)たざるなし。心を天地に誓つて、金石渝(かは)らず。利の爲に囘(かへ)らず、害の爲に怵(おそ)れず。故に能く王室を興復し、舊都に還(かへ)せり。諺に云ふ、前門に狼を拒(ふせ)いで、後門に虎を進む、と。廟謨(べうぼ)臧(よ)からず。元兇踵(きびす)を接し、國儲を構殺し、鐘簴(しようきよ)を傾移す。功成るに垂(なんなん)として、主を震(おどろ)かす。策善しと雖も、庸(もち)ひられず。古(いにしへ)より未だ、元帥前を妒(ねた)み庸臣(ようしん)斷を專らにして、大將能く功を外に立つる者あらず。之(これ)を卒ふるに、身を以て國に許し、死に之(ゆ)いて佗(た)なし。其の終りに臨み、子に訓(をし)ふるを觀るに、從容として義に就き、孤に託し命を寄せ、言(げん)私に及ばず。精忠日を貫くに非ざるよりは、能く是(か)くの如く整ふに暇あらんや。父子兄弟、世々に忠貞を篤くし、節孝一門に萃(あつ)まる。盛んなる哉。今に至りて、王公大人、以て里巷の士に及ぶまで、口を交へて之を誦説して衰へず。其れ必ず大いに人に過ぐる者あらん。惜しいかな、筆を載する者、信を考ふる所なく、其の盛美大德を發揚すること能はざるのみ。 |
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近年上演された『菊水』の記録です。いづれも湊川神社神能殿における、能楽協会神戸支部による「楠公祭奉祝能楽鑑賞会」の公演です。 |
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平成15年(2003) |
平成18年(2006) |
平成20年(2008) |
今から13年後の2035年には、大楠公七百年祭が催されるものと思われますが、おそらく、この『菊水』や正成にちなんだ『楠露』が、湊川神社神能殿で上演されることでしょう。 |
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ワキツレ |
「菊の薫りの |
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「これは |
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ワキツレ |
「頃は春。 |
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「 |
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「なうなうあれなる人は |
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「これはこの所初めて |
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「 |
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「まず東にあたって |
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「さん候あれこそ生田の森にて候。そのかみ |
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「げにげに箙の |
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「さん候これなる待つ梅の木蔭なる。 |
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「誠に |
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「夏草茂る |
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「さてはこれなるが |
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「傷はしやさしも |
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「げによく御弔ひ候ものかな。しかもその |
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「何とその |
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「かやうに申せば我ながら。 |
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「夢の浮世の |
シテが中入すると、ワキ、ワキツレ三人は常座まで送って行き、ワキとワキツレ二人のうちの一人は中入する。舞台に残ったワキツレ〈佐々木介三郎〉は間狂言と問答となる。 |
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〈朝臣〉 |
「夜も更け過ぎて |
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「思ふ雲間の |
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「あやに |
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「 |
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「そのまゝ |
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〈朝臣〉 |
「不思議やな夢 |
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「今は何をか |
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「さても |
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「然るに |
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「 |
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「正成 |
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「すでに防戰に定まること。ひとへに |
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「この度の |
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「頃は |
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「 |
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「さる程に。淡路の |
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「 |
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「正成。 |
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「 |
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「須磨の上野の |
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「刀は折れ矢も |
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「倒れ傷つく |
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「今はこれ |
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「 |
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「湊川なる。神の |
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「神慮すずしめの御神能。千代の聲々。 |
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「あだ |
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「 |
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「水 |
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「君は船。臣は水。 |
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(平成26年 4月10日・探訪) (令和 4年 1月27日・記述) |