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大角征矢氏による 観世流 演能統計


3.『番目順』のこと

(1)  以下の諸表で、番目別、番目順に並べたものがありますが、これは単に五十音別に並べたものよりも、関連性のある他の曲が近くにあるほうが比較して見られる、という点からこうしたものです。

(2)  この種の配列は、世阿弥の云う〈序破急〉の原則に従った、いわゆる〈神・男・女・狂・鬼〉の順にしたもので、古くは昭和3年に出た日本名著全集・野々村戒三編『謡曲三百五十番集』、戦後では野上豊一郎『能二百四十番』などにあるのですが、これらはシテ方の五流全部を対象にしていて、観世流の主張とは違う分類にしてあるものが少なからずあります。
 たとえば観世流では〈四番目〉に位置づけられている『葛城』や『住吉詣』が〈三番目・鬘物〉に、また『鷺』や『当麻』が〈五番目・切能物〉になっていたりしています。


(3)  また、観世流の中においても、『碇潜』と『東岸居士』は、以前の〈番目〉と最近のそれとが異なっていたりします。(また、現在刊行中の〈続百番集〉目次の番目と、一番本のそれとが合致していない、という齟齬もあります)

(4)  それやこれやで、以上の諸本の〈番目〉をそのまま利用するわけにいかず、独断的に私なりに配列替えを致しました。

(5)  トップに『弓八幡』を据えたのは、世阿弥が『高砂』はなお尾鰭があるが、『弓八幡』はそれよりもスパッとした典型的なものと考えていたように思うのでナンバーワンにしたまでです。

(6)  そういうことで、以下シテの舞の種類や曲想など類似のものをグループとしてひと纏めするなどして、おこがましくも観世流独自の『曲番』を策定、統計本表の順序もこれを根拠にしたものです。
 それで、第4表と第5表に『曲番一覧表』と『曲番索引表』をつけています。この二つの表は、あとにあります〈統計本表〉との関連でご利用ください。


注)  最近正規曲目として編入された「三山」および「松浦佐用姫」は統計上なじまないので除外しています。
また、最近の大成版一番本「曲柄」に従い『碇潜』は二番目から〈五番目〉に、『東岸居士』は五番目から〈四番目〉にそれぞれ修正し、配置替えをしました。
 なお、第4表と第5表において、紫色で表示した曲名は「続百番集」所収の曲です。


  (第4表)観世流 演能統計〈曲番〉一覧表
  (第5表)観世流 演能統計〈曲番〉索引表

4.『番目別暦年演能回数表』について」 へ



演能統計 ≪ INDEX ≫     
T.演能統計について
  1.演能統計の前提条件
  2.統計結果の概要 (第1表)暦年別・期間別演能総回数
(第2表)通期演能回数順位表
(第3表)五十音順 演能回数表
  3.「番目順」のこと (第4表)曲番一覧表
(第5表)五十音順曲番索引表
  4.「番目別暦年演能回数表」について (第6表)番目別 暦年演能回数・構成比表
  5.「演能伸長指数」について (第7表)演能伸長指数表〈五十音順〉
(第8表)演能伸長指数表〈番目別〉
  6.「期別演能回数変動パターン」について
(第9表)期別演能回数変動パターン表
(第10表)演能回数変動パターン表〈五十音順〉
  7.「稀曲」演能記録について
U.(統計本表)演能回数表
V.(別表1)期別演能回数順位表
  (別表2)期別演能回数順位一覧表〈五十音順〉
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