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4.『番目別暦年演能回数表』について
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〈番目〉の観点より分類した各グループ曲群が、この60年間にどのような変遷をたどってきたかを見るために、演能度数を一覧にしたのが次の第6表です。 これで見ますと、偶然にも〈一番目〉脇能物、〈三番目〉鬘物、〈五番目〉切能物の、〈奇数番目〉が伸びて、〈四番目物〉の大群が圧縮されてきているようです。 A期を100とした「指数」で最近のF期を見てみますと、 〈脇能物〉=170.3、〈鬘物〉=170.8、〈切能物〉=170.7 と、奇しくも同じ170台の指数になっています。それに対して〈四番目物〉は、最低の指数〈136.8〉になっているわけです。 たゞ絶対数はなんといっても狂女物あり、人情物・遊楽物ありでバラエティーに富んだ〈四番目物〉の演能が多いのは当然でしょうが、着実に、本格的な〈能らしい能〉の方に、演者も観客も引かれてきている結果ではないかと愚考する次第です。(私は〈修羅物〉も好きなので、もっと伸びてもと思っているのですが…。) なお、(第6表)の最下欄に〈曲数〉欄がありますが、これは観世流の番目グループの曲数で、その上欄の演能数とを対比させたものです。 たとえば、〈一番目〉は全部で〈30曲〉あって、全 207曲のうち、その構成比は〈14.5%〉であるわけですが、その上の欄にある如く実際の演能数は延べ〈4,062回〉で、全体の演能数に対して〈5.7%〉を占めるに過ぎないことがわかります。すなわち、〈一番目〉脇能物は、曲数の割に上演頻度は低く、上演されない曲の方が多いということが言えましょう |
(第6表) 観世流番目別 暦年演能回数・構成比表 |
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