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大角征矢氏による 観世流 演能統計


6.『期別演能回数変動パターン』について

 前項の『伸長指数』では、50年を前期・後期に二分し、前期に対する後期の演能回数の〈伸び具合〉を考察したが、さらに細かく、期別ではどういう変動をしてきたか、つまりある曲がA期からB期へ、B期からC期へ……と、期を経るごとにどういう変化をしてきたか、を見るわけです。
 ある期から次の期にかけて演能回数が、
   上昇した場合は「
   下降した場合は「
   横ばい(同数)の場合は「
の記号で表わしますと、上昇一途の「」から、下降一途の「」までのあらゆる場合の変化は81通りとなります。
 これら個々のの変動パターン全部にそれぞれ該当する曲があるとは限りませんが、該当する曲群を(第9表)にまとめてみました。
 たとえば、
 『高砂』は、A期=87、B期=92、C期=129、D期=142、E期=203番と、A〜E期を通じて上昇傾向〈パターン 1〉
 『摂待』は、A期= 6、B期= 6、C期= 6、D期= 6、E期= 8番と、D期まで横ばいで、E期に上昇〈パターン40〉
 『春栄』は、A期= 9、B期= 8、C期= 5、D期= 4、E期= 3番と、A〜E期を通じて下降傾向〈パターン81〉
 『忠度』は、A期=58、B期=88、C期=72、D期=90、E期=82番と、各期ごとに上下を繰り返す〈パターン21〉
といった事が伺えます。
 上例で示したように、一期も上昇した事がなく下降の一途をたどるのは、世阿弥作といわれる『春栄』(パターン81)であり、次いで不動の人気曲、と思われていた『鉢木』(パターン54)という結果が出てきました!
 どの曲がどのパターンになるかを、五十音順のインデックスとしたのが(第10表)です。
 (第9表)(第10表)で、〈型番〉として表記しているのが〈パターン〉の番号で、青字で示した曲は、A〜E期を通じて〈または〉で、一度も減少したことがない曲です。
 また(第9表)で▼印を付した曲は、最初のA期よりも最近のE期の演能回数が減少している曲です。


  (第9表) 期別演能変動パターン表
  (第10表) 演能変動パターン表〈五十音順〉

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演能統計 ≪ INDEX ≫     
T.演能統計について
  1.演能統計の前提条件
  2.統計結果の概要 (第1表)暦年別・期間別演能総回数
(第2表)通期(50年間)の演能回数順位表
(第3表)五十音別 演能回数表
  3.「番目順」のこと (第4表)曲番一覧表
(第5表)五十音順曲番索引表
  4.「番目別暦年演能回数表」について (第6表)番目別 暦年演能回数・構成比表
  5.「演能伸長指数」について (第7表)演能伸長指数表〈五十音順〉
(第8表)演能伸長指数表〈番目別〉
  6.「期別演能回数変動パターン」について
(第9表)期別演能回数変動パターン表
(第10表)演能回数変動パターン表〈五十音順〉
  7.「稀曲」演能記録について
U.(統計本表)演能回数表
V.(別表1)期別演能回数順位表
  (別表2)期別演能回数順位一覧表〈五十音順〉
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